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仏教における性格分析の5つめ、今回は「痴性(ちしょう)」を紹介してみます。前回の「尋性」はこちら
※事前注釈
・仏教では6つの性格があると説明されるが、それぞれの優劣や上下関係があるわけではありません。
・ひとの性格を正確に言い当てることは本来むずかしいことです。あくまで気楽に参考程度にご覧いただければと思います。
・「ブッダの実線心理学 アビダンマ講義シリーズ第七巻 瞑想と悟りの分析①(サマタ瞑想編)」をメインの参考書籍として、松村個人の理解をだいぶからめつつ紹介する記事です。

◆痴性は「なまけもの」?
痴性の場合は「集中力がない、物事に関心がいかない」というような説明がなされます。貪性のように物事を積極的に喜んで受け入れようとはしませんが、瞋性のように「なんだこれは!」という怒りをあらわにすることもあまりありません。どちらかというと無関心というか「どうでもいい」という態度が中心になるそうです。
痴性の基本的な性格は「判断できない、集中することができない」と説明されています。自分でなにか店を開いて、お客さんがたくさん来るような工夫をあれこれ凝らすのは苦手です。流れ作業のような仕事であればこなせますが、あれこれ現場で判断を迫られるような仕事は不向きだそうです。
表面的には穏やかなひとに見えるので、まわりからは落ち着いていてのんびりしているひとに見えるのではないかと思います。仕事ができるわけじゃないけどやさしい先輩、というかんじ。良くも悪くも、あまりガツガツしていないのだとおもいます。「ああ、あのアイドルのコンサートに行かなきゃ❢❢❢」みたいな働きが人より少ないかもしれません。
◆数学が苦手で美術が好き?
勉強で言えば、たとえば「数学はできない訳では無いが好きではない。美術は好きになる。漢字の書き取りは得意だが作文は苦手。歴史や地理などの暗記科目は得意」という説明があります。私自身もこれはすごく身に覚えがあるので親近感が湧きます。
(自分で決断するのが苦手、という点を見ると信性と痴性は似ているように見えます。信性であれば「ああ、ありがたい、ありがたい」と思って先生を信じてせっせとこなしそうですが、痴性の場合はたぶん「ふーん」という感じで取り組むのではないだろうかとおもいます。)
ところで、痴性だから頭が悪い、なまけものだとすぐに決めつけることは出来ないと思います。あくまで心のはたらきかたの傾向であると理解すべきであって、他人を決めつけることがないように注意しなければなりません。
◆痴性の「怒り方」?
痴性のひとにも煩悩があり、怒りがあります。痴性のひとが怒る時は、突然のできごとの情報量でパンクして処理できなくなって爆発してしまう、ヒステリー的な状態であると説明があります。突然のハプニングには弱いということです。こういうとき、やはり周囲の人間や上司がしっかりしていれば助けてあげられます。
「痴性で判断力がないからひととしてダメだ」というように決めつけることもまた難しいと思います。世の中が怒りと欲でどれだけとんでもないことになっているのか、数え切れないほどです。「なんだそんなこと、どうだっていいんじゃないか」と放っておけるひとの人徳というものもまた世の中にあります。ひとの性格がそれぞれあり、それぞれの場面で良い結果を出したり悪い結果になったりするということなのです。貪性や瞋性がよくて痴性がだめ、などと性格の良し悪しを決めることはできないのです。社会で生きることに疲れたとき、欲とも怒りとも離れた人と話してホッと一息ついて助かったということは世の中にいくらでもあるのではないでしょうか。
◆どんな職業が向いているのか?
基本的には「今日はこれをやってください」とマメに指示してもらえるような職場か、流れ作業的に働ける環境、あるいは絵描きなどの「決まったカタチじゃなくていい」という分野がいいかんじなような気がします。彼らに一度にたくさんの仕事を投げると混乱してしまうと思います。
自力でなにか判断するというアクションが苦手である以上、誰かに雇ってもらったり助けてもらいながら生きていくことが選択肢としてまず上がりそうではあります。が、ひとの生き方は様々です。痴性に入るひとであっても堂々と独立して生きている人はいらっしゃるはずです。「痴性だから独立は無理」といきなり言うことは出来ないと思います。が、工夫が必要な以上、誰かに習ったり仕組みそのものを教えてもらったりするような機会は必要だろうと思います。誰でも若い頃は上司や先輩に色々教えてもらって大人になりますが、そうした度合いの必要具合の強弱などはあると思ます。
生き方に工夫が必要なのはどの性格の人間でも同じことです。
◆どんな創作が向いている?
漫画の場合、おそらく複雑なコマ割りや伏線回収などのあるような、変数の多い作業は本人のキャパシティを超えてくる気がします。それよりは、たとえば4コマであるとか、2,3ページで終わるような簡単なお話にするとか、あるいはお話の構造を完全に決めておいてもよいかもしれません。変数を減らして「これにだけ集中してくれればいいよ」とがんばりどころを絞ることでうまくいきそうです。一度に多くのことを処理しようとしないことです。シングルタスクに分解すべきでしょう。
あるいは「完全になんでもありだよ」ということにして、心を自由にしてあげてもよいかもしれません。きっちりしていなくていい、いわゆる上手な絵や、きれいな伏線回収やものすごい精密な描写はしなくていいんだよ、という自由なところを用意して、やっとホッとする可能性があります。心を自由にさせておいて、4コマのようにフレームだけ決めておけば本人が安心してのびのび遊び始めるのではないかと思います。混乱を避けるため、ここからここまでというフレームは必要だと思います。
つまり、どこかで流れ作業的なものにしておいて、なにか本人が思いついたら好きにさせておく。ややこしそうだったらまたいつものところに戻ってきてもらう。「判断力」が問われるセクションをなるべく省いてあげることで本人の心が自由になります。たぶん。
痴性の話題で、どなたか著名人で例があるかな?と一瞬思い出してみたのですが、おそらくジミー大西さんあたりはそうでないかなとこれまた勝手に推測します(勝手です!)。さんまさんの運転手をしていた時代に叩き込まれた一発ギャグを振られたときは即座にサッと反応したり、美術的な方面で結果を出したり、ちょっと勉強が苦手なところがあったりなど色々なエピソードがwikipediaで確認できます。さんまさんという信じて構わない上司と出会って芸を仕込まれたことで芸人として一本柱が入り、そこから本人の天然キャラなどもあって愛されていったという流れではないかと思います。年末の「ガキ使」に出てきたときはわたしも爆笑せざるを得ませんでした。
あとこれは細かい絵の話ですが、おそらく痴性のひとはきっちりした直線を引くのは苦手なんじゃないかなという気がします(偏見です)。集中力が続かない分、たぶん途中でどうしてもフニャッとしてしまうのだと思います。文字を書かせるとところどころ間違いがあったり、字全体に力が入っていないかんじだったりする気がします(偏見です)。
◆誰だって助けてもらって生きている
今回も色々書いてはいますが、わたしたちの性格が違うというのは、社会の中での役割が違うということです。誰もがお互いの性格に助けられて生きています。相手の能力の欠けているところを見つけたとき、それをあげつらったり見下したりするのではなく、お互いが得意な部分を補い合って思いやりを持って生きるべきです。
ここまで5つの性格を紹介してきました。次回は最後に「覚性(かくしょう)」を紹介します。そのうち書きます。ほな、また。




