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仏教における性格分析の3つめ、今回は「瞋性(じんしょう)」を紹介してみます。前回の「貪性」はこちら
※事前注釈
・仏教では6つの性格があると説明されるが、それぞれの優劣や上下関係があるわけではありません。
・ひとの性格を正確に言い当てることは本来むずかしいことです。あくまで気楽に参考程度にご覧いただければと思います。
・「ブッダの実線心理学 アビダンマ講義シリーズ第七巻 瞑想と悟りの分析①(サマタ瞑想編)」をメインの参考書籍として、松村個人の理解をだいぶからめつつ紹介する記事です。
◆瞋性は「怒り型」
瞋性は、物事に対して対立的なアプローチを取る性格です。仕事をするときもなんとなく怒りながらやるし、部屋を片付けたり模様替えするときも「もっとこれどうにかならんのか!?」という感じで家具を移動したりする感じです。とりあえずぜんぶタンスに詰め込んでハイ終わり❢みたいな掃除になるかも。貪性があえて物事の楽しい側面に惹かれてしまうように、瞋性は物事の欠点をついハイライトしてしまいがちです。
物事の欠点を見抜くのが素早く、基本的に判断はパッパと済ませます。信性のように判断能力自体があまり働かなかったり、優柔不断ということはそこまでなさそうです。判断自体が正しいか間違っているかは個々人の能力によりますが、とにかく判断は下すというわけです。
仕事をさせたり上司になるとビシバシ働いたり指示を出すのでリーダーシップがあるように見えます。反面、「あの人、能力はあるんだけどちょっとおっかないよね」などと思われたりしがちです。ズバズバとモノを言ったり色々なところに爆弾を投下していくところがあるのでどこかでだれかと対立しがちなのかもしれません。
ちなみに、瞋性であっても全然怒らないというひともいるはずです。あの人はいつも怒っているから瞋性だ、そうじゃないから瞋性じゃない、と簡単に判断しないほうが無難な気がします。あと、数字に強いイメージ。たぶん数学が得意なひとが多い気がする。
あと、瞋性じゃなくてもおこりんぼなひとはいます。怒りは誰にでもある煩悩です。そこは基本なのです。
◆例えばどんな人?
世のなかには、どうしてもなにかといつも戦っていないと生きている感じがしないというひとがいるのかもしれません。それなりの地位にいるのだからそのままふつうに生きておればいいのに、なぜか要らないトラブルを生んだり誰かにケンカを売ったりしてしまう。彼らはいつでも何かに挑んでいたいのではないかなと思います。
例として合っているかわかりませんが、芸人でYouTube大学もやっている中田敦彦さんあたりは瞋性が入っている気がします。元々の芸風も、既存の漫才やコントのあり方にどこかケンカを売るようなアプローチで有名になりましたし、「Perfect Human」に至っては一体どこがコントなのかという勢いですが、それで再ブレイクを果たしました。芸人でありながら早い段階でYouTubeに乗り出してみたりするのも、業界に対して挑戦的な感じがありました。あとYouTuber業を始めてしばらくしてから、謎に「お笑いコンテストの審査員は独占的でうんぬん」みたいな発言をして炎上してみたり…。
端から見れば別にのんびりYouTubeやっていればいいじゃないか、と思ったりもしますが、本人としては「次は何/誰と戦おうか」というどうしようもないエネルギーがあるのかもしれません。瞋性というのは、例えば、そういう対立的なエネルギーの持ち主と理解していいんじゃないかなと思います。
◆どんな職業に向いている?
わかりやすく相手の欠点をつくような職業、つまり格闘家であったりスポーツであったり、だれかと戦うことが仕事として入っているような職業は一定の結果を出すかも知れません。相手の欠点やスキをいかに素早く正確に突くのかというとき、キラリと光ります。また、議論することも好きそうです。参考文献には「反対意見を言わせると結構元気」などと書いており、なるほどなと思います。
世の中の仕事にはツッコミ役が必要です。「それってどうなってるの?」「具体的には?」「ここおかしいんじゃないの?」そうして悪いところを直していくはたらきが社会に必要です。あるいは野党的であったり、あるいは批評家的なポジションに収まることもあるかもしれません。そういう意味ではなんとなく、マツコ・デラックスさんあたりは瞋性のような気もします(世相を切るような語り口の上手な人は瞋性っぽい?)。
これも例としてどうかわかりませんが、ラッパーの呂布カルマさんあたりも瞋性っぽい気がします。とくに即興のラップバトルで相手を素早くディスらないといけないというとき、ちんたら考えている暇はないはずです。瞬発的にズバッと言わないといけない。瞋性のひとにはそういう瞬発力があるように見えます。
ちなみに、瞋性のひとに漫画を描かせると、やはり勝負の世界を描くときに楽しそうにしている気がします。「カイジ」や「嘘喰い」などの殺伐とした駆け引きの漫画であったり、あるいは「ドラゴン桜」などの実用書寄りの漫画もやりそうです(ドラゴン桜も受験の話なので、やっぱり勝負のおはなしですね)。
連載が続くにつれてめっちゃ絵がうまくなることも当然ありそうですが、どちらかというとどこかのタイミングで「用事が済めばそれでいい」ということで絵柄が一定の画風に落ち着くような側面がある気がします(ヘタという意味ではないです)。
◆クリエイター職には向いているのか?
クリエイターや芸術家など、なにか創作する職業にも瞋性の方はたくさんいらっしゃると思います。「貪性じゃないと創造的な活動に向いていない」などという考えは誤りです。
例えば木曜日にTBSでやっている「プレバト!!」の俳句コーナーで人気の夏井先生は瞋性っぽいかな?と個人的にこれまた勝手に思います。もう、めっちゃズバズバ言う。(笑)でも、俳句の悪いところをビシビシ直していくと、いつのまにかあの美しい俳句が出来上がっている。
物事の悪いところを、直して、直していけば、そのうち直すところはなくなります。これはシンプルですが重要な事実です。おそらく俳句というのは、そういったアプローチと相性が良いのではないかと思います。5・7・5という限られた音数と「季語」というルールのなかでどのように情景を立ち上げ心情をうたいあげるのか。無駄を削ぎ落としたその先にある美に辿り着こうというとき、瞋性的なアプローチはとても学びになると思います。
もうひとり心当たりがあるのが、カービィやスマブラの生みの親として有名な桜井政博さんです。任天堂の元代表取締役社長の岩田聡さんがインタビューで、桜井さんについて「ものがまったくできていないときに完成イメージが頭の中でほぼ完璧にできて動いている」と評していたのですが、そうした能力の源は瞋性的なアプローチによるものではないかとこれまた勝手に推測しています。あるコンセプトについて、あらかじめ問題になりそうな点をぱぱぱっと見抜いて、頭の中で対処し、組み立て終わっている。余計なものを後から途中からつぎ足してごちゃごちゃさせないので、「これで完成。」という一点にしっかり収束するのではないかと思います。
星のカービィ、スマブラ、カービィのエアライダーなど、氏のゲームは魅力たっぷりながらも基本のつくりがとても「すっきり」していてコンセプトが明快です。やりこみ要素なども当然あるのですが、やはり全体的に「無駄を削ぎ落とした美しさ」のようなものを個人的には感じます。「星のカービィ」のゲーム難易度をデザインする際も、「初心者の人がつまづくような障害を取り除く」というアプローチが多分にあったことは御本人の動画の中でも紹介があったかと思います。
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少し長くなりました。要するに、そのひとの性格にあった仕事の仕方というものがあるのであって、それは漫画・ゲーム・音楽といった様々な創造的フィールドにおいても同じであるという話を、私はしておきたかったわけです。色々な性格のひとに、それぞれの生き方と道があります。
ここまでで信性・貪性・瞋性の3つを紹介してきました。残るは痴性、瞋性、覚性の3つです。どれにしようかな。
では、また次回。

これは適当に書いたイメージ。ツノかわいいね。

